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「言っておくが、母様の形見はわらわを護るようにと残してくれたモノ。それをそなたに託すと言うだけじゃ。その意味は分かるよのう?」
パリキスは意地悪そうに笑って見せた。
どちらかと言うと、悪戯っ子が好きな異性をからかう感じに近い。
それを感じて、ガルンは小さく微笑した。
胸のつっかえが晴れたような顔を上げる。
「了解した! パリキスのお袋さんの分も俺が護れば良い話だ! 今回の件も俺が何とかしてみせる!」
「それでこそ、我が騎士じゃ!」
何時ものガルンに戻った事を、パリキスは嬉しそうに微笑む。
それにつられて、ガルンも顔を綻ばした。
しかし、しばらくしてから気真面目な表情に戻る。
「だけど……。どうしたものかな。盾で勝つか……」
ガルンが顔を曇らすには理由がある。
単純にパリキスのサクラメントが、セルレインのサクラメントより劣っていたらと言う前提で悩んでいるのでは無い。
問題は使い手の力量である。
同じ武器でも力量の違う者が使えば、片方は意図もたやすく砕かれる可能性があるのだ。
実際、ガルンが路上で売られている鉄の剣を持ち、一介の兵士が鋼の剣で相手をしたとする。
滅陽神流剣法・無式を使えば、相手の剣を全てへし折るぐらいは朝飯前だろう。
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