第十七章 砕けぬ想いと砕けぬ盾

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それを考慮すれば、サクラメントの強度実験に出てくるだろう、ネウィード・ベウィクと言う騎士は厄介極まる存在だ。 アベルの資料から、武器を扱うのみに特化した完全なる武術師と判断出来る。 武器を扱う技能が一流なのは間違いない。 それを相手に、ただ盾を構える。 あまりに無謀と感じるのは、当然の既決だろう。 「ガルン! 一つ言っておく事がある。心して聞け!」 パリキスは急に、キリッとした真摯な眼差しをガルンに向けた。 真剣な顔をするだけで、空気が変わる。 ずば抜けた霊格が回りの世界を覆い尽くす。 ガルンは生唾を飲み込んだ。 「わらわを信じよ!」 簡潔な一声。 そこには今までのパリキスと違い、自信に満ち溢れた顔があった。 「この盾は消して砕けぬ。この盾にはわらわの力を、わらわの心を宿してある。それがそなたに降り懸かる禍を防ぐであろう!」 「……強気な発言だな」」 「当然じゃ! この盾はわらわが心血を注いで作り上げた最高傑作! わらわが死にでもしない限り砕けぬ。絶対に、絶対にじゃ!」 どこからその自信が出るのか、パリキスは胸を張って得意満面である。 ガルンは飽きれ気味に肩を竦めた。 最高傑作も何も、創作第一号である。現在最高傑作驀進中なのは当然だ。
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