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「ガルン様が気にしているのは、例のサクラメントの強度実験の話ですよね?」
「なんだそれは?」
「噂で持ち切りでしたよ。と、言うか、セルレイン王女が意図的に流した情報でしょうね。パリキス王女がサクラメントを初めて創るとの事で、それが実戦に耐え得る性能か、自ら作り上げたサクラメントで試すとの事です」
ガルンの顔が微妙に曇る。
逃げ道を封鎖する気満々だ。
延期にしろ、拒否にしろ、パリキスを叩く理由は万端と言う所だろう。
「城内には宣伝済みかよ」
ガルンは小さく舌打ちする。
ここまで来ると、アズマリアが何と言おうが悪意しか感じない。
(とりあえず……第一王女の造ったサクラメントを持つ奴が相手だろうな)
回廊で会った、斧槍を持った青いツンツン頭を思い出す。
あの身のこなしは、かなりのやり手と物語っていた。
書類にその男らしきデータを見つける。
ネウィード・ベウィクと名が記載されていた。
正統派のエリート騎士だ。
特に特殊能力や、キリエのような秘宝持ちでも無い。
武術のみで王宮近衛騎士団に入団したとなると、かなりの凄腕と言う事になる。
(サクラメント勝負のみなら……必要なのはそれを行使する腕前だ。技術力……順当に行けばこいつだろうな)
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