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ガルンが思案に暮れていると、進軍停止の笛の音が聞こえ始めた。
メルテシオンでは軍隊規模の進軍命令を、笛の音で簡易報告するのだ。
それに合わせて馬車が停止する。
「何かあったんでしょうか?」
アベルもそれにあわせて騎馬を停めた。
周りの騎士達もそれにならって馬を停めていく。
「俺が気絶してから、どれだけ時間が経っているんだ?」
ガルンは素早く身仕度を整えると、無造作に置かれているダークブレイズと蝶白夢に手をかける。
「僕が今朝こちらに来た時には、ガルン様はダウンしてましたよ? 深夜、大規模戦闘があったと聞きました。今は正午なので、逆算すれば十二時間辺りは経過しているかも知れませんね」
「そこまでは経っていないか……」
ガルンは馬車を降りると、遠方から走る騎馬を見つけた。
「一時、此処で陣を引く! 第三種警戒体制、スクウェア・ワンで全周警戒!」
伝令を叫ぶ、騎士のルート上にガルンは近づくと、
「何があった」
と、簡潔に声をかけた。
ガルンに気付いた伝令兵は馬を慌てて停める。
「ガルン様、気がつきましたか! 本陣で緊急会議が行われます。直ぐに中央にお向かい下さい。詳細はそちらでとの事です」
伝令兵は一礼すると、再び馬を走らせた。
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