第十七章 砕けぬ想いと砕けぬ盾

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ガルンが思案に暮れていると、進軍停止の笛の音が聞こえ始めた。 メルテシオンでは軍隊規模の進軍命令を、笛の音で簡易報告するのだ。 それに合わせて馬車が停止する。 「何かあったんでしょうか?」 アベルもそれにあわせて騎馬を停めた。 周りの騎士達もそれにならって馬を停めていく。 「俺が気絶してから、どれだけ時間が経っているんだ?」 ガルンは素早く身仕度を整えると、無造作に置かれているダークブレイズと蝶白夢に手をかける。 「僕が今朝こちらに来た時には、ガルン様はダウンしてましたよ? 深夜、大規模戦闘があったと聞きました。今は正午なので、逆算すれば十二時間辺りは経過しているかも知れませんね」 「そこまでは経っていないか……」 ガルンは馬車を降りると、遠方から走る騎馬を見つけた。 「一時、此処で陣を引く! 第三種警戒体制、スクウェア・ワンで全周警戒!」 伝令を叫ぶ、騎士のルート上にガルンは近づくと、 「何があった」 と、簡潔に声をかけた。 ガルンに気付いた伝令兵は馬を慌てて停める。 「ガルン様、気がつきましたか! 本陣で緊急会議が行われます。直ぐに中央にお向かい下さい。詳細はそちらでとの事です」 伝令兵は一礼すると、再び馬を走らせた。
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