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第十七章 砕けぬ想いと砕けぬ盾 #2
セルレインの視線を、パリキスは真っ向から見つめ返すと、コクリと頷いた。
それをセルレインは満足そうに見つめる。
「異存は無い! 二人とも全力でその力を示すがよい!」
そのセルレインの声が開始の合図になった。
アズマリアが無言で下がる。
ベウィックは腰溜めに構えると、両手持ちした聖槍を引く。
動作の一挙一動に隙が無い。無駄が無い。
ガルンは小さく舌打ちした。
明らかに熟練のレベルが違う。
腕だけでもかなりのものだが、それにサクラメントが追加されるとなると、目を覆いたくなる状況だ。
成聖斧槍・ブリューナク。
その効果も未知数だが、ガルンには手の出しようが無い。
ただ、ただ盾を構えるだけだ。
実際は、ただ身体を斜に構えると、背中に浮いていた盾が自動で全面に回り込むので、やる事は無い。
ガルンに出来るのは、ただパリキスを信じる事だけだ。
向かい討つは、自動反応する聖なる盾。
それのみ。
「悪いが手は抜かんぞ。どんな戦場でも、勝つために戦うのが信条だ」
ベウィックの身体が、バネ仕掛けの弓のように引き絞られる。
一撃に全身全霊が注ぎ込まれるのは明白だ。
それにプラスして聖槍から黄色い光が立ち昇る。
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