第十九章 世界の嘆きと悪夢の始まり #2

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伝令兵から直ぐに手紙を受け取る。 そこに記してある内容を見て、ガルンは手紙を握り潰した。 「何を考えてやがる!!」 怒りでわなわな震えるガルンを、全員が心配そうに見つめる。 その空気に耐えられなかったのはネーブルだ。 「オイ、何が書いてあったんだよガルン?」 「……」 ガルンは苛立ちを隠そうともせずに、手紙を荒々しくネーブルの手に捩込む。 ネーブルはそれを不満そうな顔で開いた。 「……冥魔族殲滅計画“闇染戦略”(やみぞめせんりゃく)?」 そのまま黙読していたネーブルの顔が、次第に曇っていく。 「な……んだコレ? このフェイク・グリモア……魔人兵団って……」 「どう言う内容なんだネーブル?」 グレイが困惑顔で責っ付く。 その様子が面倒になったのか、アビスがネーブルから手紙を取り上げた。 「勿体振るのは止めなよ? これは連絡事項。覆らない決定事項でしか無い。 さっさと全員に伝えよう」 フィン・アビスは取り上げた手紙を読み始めた。 本来、上官の手紙を部下が勝手に読むなど罰則ものだが、すでにその行為は暗黙の了解になっている。 お世辞にもガルンの指揮能力は高くないからだ。 当人は有能だが、指揮を取る視野の広さが足らない。
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