第十九章 世界の嘆きと悪夢の始まり #2

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ガルンの悪い点は、作戦や戦術を自分の能力を基準に組み立てる事にある。 これでは殆どの作戦は意味をなさない。 末端の人間の能力を過大評価しすぎなのか、自分の能力を過小評価しすぎなのかは謎である。 どちらにしろ、ガルンは人を使うには向いていないようであった。 そこで、作戦立案は軍師変わりに隊長格を集めて執り行う。この流れから情報は隊長達と共有する形になっているのだ。 「闇染作戦……。冥魔族の本拠地になっているユガリウス大洞窟に、全方位から同盟国による同時 攻撃を敢行。主目的は……デーモンサモナーの拠点進攻? ユガリウス大洞窟内でのダミー・サウザンドアイズ・グリモアによる……千眼の魔人召喚計画……?!」 アビスの言葉に全員がざわめく。 「サウザンドアイズ・グリモア?! それはあのクレゼントが持ってた魔道書ではないか?!」 アカイが声を荒げる。 幽宮の搭ではクレゼントに酷い目に合わされているので仕方が無い。 魔人使いクレゼントが、魔人召喚に使用していた魔道書。それが千眼の魔典“サウザンドアイズ・グリモア”である。 「ダミー……と言う事は、あの後、調査隊が何かがクレゼントの書庫でも発見したのか?」 「我にはあれを簡単に制御出来るとは思えんが……」
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