第十九章 世界の嘆きと悪夢の始まり #2

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「けっ、俺様の稼ぎが減るだけだ! あんな鳥野郎ども何ていらねぇーよ」 フィン・アビスの淡々とした呟きに、ハオロンは何か気に食わないのか、不満げに言葉を吐き捨てた。 「何、どのみち現在の主任務は防衛ラインの死守だ。 あれこれ考えずに撃退だけを考えようではないか!」 気軽に笑うアカイは、豪胆なのか抜けているのかよく分からない。 ただポジティブな所はムードメイカーとしては、ありがたい所だろう。 「とりあえず、大規模作戦までは現状維持だ。二番隊、四番隊が前衛。八番隊が哨戒。十番隊は飯に。他は休息時間に割り振っていい。定期報告はこれで終わりにする」 ガルンは面倒そうに告げると、さっさとテントを後にしてしまった。 メルテシオン第一防衛ラインは高台代わりに、北西にある丘陵に見張りを立たせている。 森林に覆われたマドゥールク領内を見渡すには絶好の場所だ。 ガルンはゆっくりと丘陵に登ると、マドゥールク領地を見つめた。 精霊の眼に切り替えるが、冥魔族の姿は無い。 当面の脅威は無いと言える。 「いちいち巡回に、団長であるお前が出るのは如何かと思うぞ?」 背後からの声にガルンは苦笑いを浮かべた。 先程テントにいた人間が着いて来たのだ。 精霊の眼を使ったので、近づいて来た人間は分かっている。 無名だ。
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