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声をかけた無名が葡萄酒の入った瓶を投げる。
ガルンはそれを受け取ろうとして、直ぐに背後にへばり付いていた盾を右腕で受け止めた。
ギリギリで左腕で瓶を捕まえる。
それを見て無名は苦笑いを浮かべた。
「その盾は優秀過ぎるな」
「オート……って言うのは考えものさ。接近する飛翔物は何でも防ぎに行くからな。姫さんにもう少し融通が利くようにチューンして貰う必要があるよ」
ガルンは盾をポンポン叩いて肩をすくめる。
それを見てから無名は、ガルンのそばに腰を下ろした。
「敵は“見えない”んだろう? まあ、一杯やろう」
「!?」
無名の言葉にガルンの目付きが変わる。
それを見て無名は再び苦笑いを浮かべた。
「疑問は尤もだが、斬るのは勘弁してくれよ上官殿」
「……」
ガルンがチャクラを回転させ始めたのも気付かれている。
ガルンはますます、目の前の青年に危険視した視線を送った。
(そう言えば……こいつはカナンの牢獄で会った時から、妙な事を呟いていたな)
疑問を思い出す。
この物静かな青年は、あれこれと行動にそつが無い。いや、行動に無駄が無さ過ぎる。
罪人の塔の事がなければ、ただ超直感の保持者かと思う所だ。
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