第十九章 世界の嘆きと悪夢の始まり #2

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声をかけた無名が葡萄酒の入った瓶を投げる。 ガルンはそれを受け取ろうとして、直ぐに背後にへばり付いていた盾を右腕で受け止めた。 ギリギリで左腕で瓶を捕まえる。 それを見て無名は苦笑いを浮かべた。 「その盾は優秀過ぎるな」 「オート……って言うのは考えものさ。接近する飛翔物は何でも防ぎに行くからな。姫さんにもう少し融通が利くようにチューンして貰う必要があるよ」 ガルンは盾をポンポン叩いて肩をすくめる。 それを見てから無名は、ガルンのそばに腰を下ろした。 「敵は“見えない”んだろう? まあ、一杯やろう」 「!?」 無名の言葉にガルンの目付きが変わる。 それを見て無名は再び苦笑いを浮かべた。 「疑問は尤もだが、斬るのは勘弁してくれよ上官殿」 「……」 ガルンがチャクラを回転させ始めたのも気付かれている。 ガルンはますます、目の前の青年に危険視した視線を送った。 (そう言えば……こいつはカナンの牢獄で会った時から、妙な事を呟いていたな) 疑問を思い出す。 この物静かな青年は、あれこれと行動にそつが無い。いや、行動に無駄が無さ過ぎる。 罪人の塔の事がなければ、ただ超直感の保持者かと思う所だ。
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