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「せっかく手に入れた自由を有効に使わないなんて、あんたバカか?」
ネーブルはどかりとその場に座りこむと、バスケットをガサガサやり始めた。
グレイもそれに倣う。
「自分が生きるように生き、死にたいように死ぬ。それが人生ってもんだぞ、貴様ら?」
アカイはガハハッと、笑いながら手にした酒をラッパ飲みする。
「いい加減にこの手を離して欲しいんですけど?」
アカイの脇腹で、アビスが苛立ちの訴えを上げた。
アカイはそれを聞いて、ようやく手を離す。
「お前も付き合いが悪いからな。たまには付き合え」
してやったり顔のアカイを、アビスは半眼で睨み付けたが、諦めたのかその場に座りこんだ。
酒瓶が飛ぶ。
アビスは反射的にそれを受け止めた。
「ナイスキャッチ」
ネーブルのバスケットから取り出した酒瓶を、グレイがいきなり投げ付けたのだ。
アビスは酒瓶を不服そうに眺めていたが、小さく溜息をつくと瓶を軽く指で小突いた。
すると蓋が勝手に回転して宙に舞う。
「何だお前? 妙な特技があるではないか?」
アカイの嬉々とした視線を、アビスは面倒そうに逸らした。
「瓶を音で振動させて、蓋を外しただけです。手品でも何でも無いですよ?」
「十分面白い! 残りも全部それで開けようではないか!」
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