第二十章 死神の舞う地へ #2

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「どうしたんだ、その腕は?」 ガルンは酷く驚いた表情を浮かべた。 グライドには虚偽認識の特殊能力がある。 そうそう手傷は負わない筈だ。 「ちょっと奴らの本拠地に乗り込んだらこの様さ。連れていった王宮近衛騎士二名と、雇ったアサシンギルドの精鋭四人も連れて戻れなかった。参った参った」 グライドは軽く苦笑いで気楽に告げるが、顔には悲壮感が張り付いている。 向かった先がどのような地獄だったかは、後で報告書が上がって来るであろう。 「まず、ガルン。貴様の言いたい事は分かる。少し待て」 アズマリアの言葉に、ガルンは柳眉を逆立てた。 「ふざけるなよ! 後回しも何も無い! 何故パリキスが戦地に行く事になっている! あんたがいて何だこの有様は!」 「黙れ小僧!!」 アズマリアの声と、破砕音が地下中に響き渡った。 一撃で粉砕したテーブルから、アズマリアはゆっくりと拳を上げる。勢い余って床を貫通してしまっていた。 「我がいたら、そんな事をさせる訳がなかろうが! 我が対冥魔連合の作戦立案会議に出ている隙に、王族会議で決められてしまったのだ! まんまとダムスライドとセルレインにしてやられたわ!」 心底悔しがるアズマリアの姿を見て、ガルンはわざとらしく大きく舌打ちする。 ほくそ笑む第一王子と王女の顔が、意図もたやすく浮かぶ。
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