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終章 月の無い空に世界蛇は哭く 序詞“緋天の開戦” #2
「以上が連合会議で決まった内容だ」
そう言葉を締め括ったのは、銀髪白眼の壮年の騎士マグリネスだった。
王宮近衛騎士団の中でもかなりの実力で知られている人間である。
メルテシオン本陣作戦会議用の大テントには、闇染作戦に参加する各騎士団の団長と、メルテシオン作戦参謀本部のシンクタンク三人、それに王宮近衛騎士団三人。そして、パリキスがいた。
騎士団はガルンを筆頭にする黒鍵騎士団、緑黄軽甲騎士団。紫獅重騎兵団
紅蓮騎士団、そして、天翼騎士団の団長だ。
まるで強大な岩があるように、アルダークの存在感が極めて目立つ。
ガルンとしては、グラハトの仇が眼の前にいるのだ。苛立ちを通り越して殺意を覚える所だが、今はパリキスの守護が優先だと自制する。
王宮近衛騎士団三人には見覚えのある人間が混ざっていた。
無言でVサインをしているのは、調停派遣で出会ったスピカである。
もう一人は茶髪の清々しい顔の美青年だ。
王宮近衛騎士団のマントの下に、金色の鎧を着込んでいる。
“騎士”と言う外見だけなら、理想的な騎士像に近いかもしれない。
メルテシオンの作戦参謀本部からの人間は、三人共白衣を着用している。五十半ばの男二人に二十歳後半の眼鏡をかけた女性だ。
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