120人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、奥の上座に用意された豪華な椅子に座るのは、王女専用の変わった姫甲冑に身を包んだパリキスである。
「それでは明朝に作戦を開始する。皆の者、粉骨砕身で事にあたるがよい」
パリキスの号令に全員、敬礼で答える。
ぞろぞろと退室するなか、ガルンのマントをスピカが引く。
「……? 何だスピカ?」
「ほい」
スピカは無愛想に手にした、でかい袋を渡す。
ガルンは不思議がりながらも中を見た。
中には王宮近衛騎士団の正装一式が入っている。
「どう言う事だスピカ?」
「姫様からの……差し入れ。現役復帰。これでガルンは、メルテシオンでは第三位種権限を……得た事になる。何かあったら思うように動けって……事」
第三位種権限はパリキス、今任務総括のマグリネスに続く権限である。
持っているのはアルダークと王宮近衛騎士だけだ。
ガルンは呆れ気味に微笑した。
どうやら、ガルン達の動きは予測されていたらしい。
これならば作戦無視では無く、独自判断に基づく戦略作戦はありになる。
ガルンはチラリとパリキスに目をやると、ニッコリ微笑み、胸元で小さく手を振る姿が映った。
ガルンも釣られて手を上げる。
「……」
それから三秒程して、微妙にニヤつくスピカに気がついた。
最初のコメントを投稿しよう!