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「オイオイ、冗談じゃねぇ~な」
ハリイツは二つの事に驚いて、顔を強張らせる。
自ら放った黒炎の威力と、それをほぼ完全に無効化にした盾の威力にだ。
どちらも、個人武装には思えない程の能力である。
ハリイツの菫眼の黒い炎がゆっくりと消える。
「くそ、やはり本体を喰ってねぇーと打ち止めか」
奇妙な事を口走ってから、ガルンに向き直る。
赤銅色の身体からは、禍々しい赤い蒸気のようなものが立ち上っていた。
ガルンは妖刀を構えると辺りに目を配る。
黒炎を撃ち込まれた方向は焼け野原と化し、大地は濛々と煙り立ち上らせる以外は人影一つ見えない。
ハリイツの後ろ側、そちらにいた戦士達は恐怖に硬直している。
倒れているアビスもそちら側だ。
(これは、人数を増やしても犠牲が増えるだけだな))
今の一撃で、どれだけの人間が蒸発したのかは定かではない。だが、今の攻撃を防げる戦力はそうそういないだろう。
「貴様らはアビスを連れて下がれ! 人数がいても邪魔だ」
ガルンの一喝で、生き残っている兵士達は顔を見合わせる。
直ぐさまアビスを抱えると、その場を離れ出した。
ハリイツはそれを横目で見ていたが、興味がないのかガルンに向き合ったままだ。
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