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フィン・アビスは暗殺者であった。
寂れた農村に生まれたアビスは、幼少から音使いの能力が開花していた。
特に狩りに能力を役立たせ、獲物の位置を音で正確に割り出し、村では重宝される存在になっていた。
しかし、転機はいきなり訪れる。
大飢饉が訪れた村は生活に困窮し、アビスを能力ごと売りに出したのだ。
呆気なく放り出されたアビスに目を付けたのは、とある暗殺ギルドであった。
村人と両親の生きる為に出した答え。
自らが生きる為の結論。
アビスは暗殺者となる事をあっさり受け入れた。
暗殺はアビスの音使いの能力を駆使すれば、たいして難しい仕事ではなかった。
後は、ただひたすらにそれを熟す毎日になる。
殺しの数が三桁に上る頃に、メルテシオンのある枢機卿暗殺を任された。
アビスは王城に入り浸るターゲットを殺す為に城内に侵入するが、王宮近衛騎士団に見つかり捕縛される。
捕まったアビスはガルン同様、死との天秤を迫られて黒鍵騎士団に入団する羽目になった。
それも単純に生きると言う目的で選んだ、簡単な選択。
彼はそうやって、ただ生きる最善の方法を選んで来た。
ただ生きる事の難しさを痛感していたが為に。
突入部隊に志願しなかったのも、単純に生存率で判断した当たり前の選択である。
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