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「やたら血行が良くなっただけはあるようだな?」
ガルンは赤銅色に変色した身体を見て、嘲笑って見せたが内心は冷や汗をかいていた。
身体の芯に残るダメージは並では無い。
ハリイツは菫の紋様が浮かんだ瞳を、ガルンに向ける。
菫の花びらの一つが紅く燃え上がっていた。
「前回は本気を見せられなかったからな? 今回は本気を見せてやれるぜ?」
ハリイツの言葉に同意するように、青白い妖虎が吠える。
ガルンは強気の姿勢を崩さないまま、チャクラを回転させていく。
速度強化に三つ、いや四つ開放した。
ハリイツのスピードには、それだけ力を投入しなければ間に合わない。
「しかし……」
ハリイツは、ガルンの右前方に浮かぶ物体に目をやる。
以前同様、必ず肝心な時に現れる謎の物体。
それが渾身の一撃を防ぐのだ。
先程の奇襲の一撃も、まるで始めから攻撃を読んでいたように割り込んで来た。
流石に今回は全力攻撃を放ったので、妙な物体ごとガルンを吹き飛ばしはしたが、まるでダメージを与えた実感は沸かない。
「その妙な物体は目障りだな」
ハリイツの目が細まる。
菫の瞳に黒い炎が燈った。
それと同時に、ハリイツの大剣に黒い炎が現れる。
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