壱詞“ユガリウス直上決戦” #3

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壱詞“ユガリウス直上決戦” #3

冥魔黎明衆“妖骸喰いのハリイツ”。 連れそう幽冥獣と命を共有する怪人。 内包した命を殺し切らなければ倒せない、不死の化け物なのだ。 「ったくよー!! 俺とファン・フーは霊格が高いんだよ! 蘇生にどれだけ溜め込んだ命を消費したと思ってんだ」 左腕を上げると、テレキネシスなのか化け物蜘蛛が空中に上がっていく。 まるで異形の龍が、天に昇っていくようだ。 「もう、出し惜しみは無しだ。こいつは勿体ないが……生贄に使う」 夜叉の花弁が光り輝く。 蜘蛛百足の身体は翠色の煌めきを放ちながら、ゆっくりと内側から爆ぜ割れた。 蝶の羽化を連想させるその動きから、白い塊が姿を現す。 蕾だ。 場違いの、巨大な花の蕾が現れた。 それがゆっくりと花びらを広げる。 中心には裸の女性の上半身があった。 両腕は無く、腰骨辺りから朽ちた木の枝が翼の様に広がっていく。 美しい端正な顔には、額に及ぶ五つの目が紅葉の葉の様に立ち並ぶ。 それを見てガルンは生唾を飲み込んだ。 精霊の眼に切り替える必要が無いほどの存在力。 外見には似合わない、荒々しく禍々しい気配。 心臓が早鐘のように鳴り響く。 「妖彗王“カリシリス”。彼の禍星に宿っていた神性存在。こいつは大喰らいでな、維持するだけでどれだけの命が消費されていくか分からない。だが……燃費の悪さを補う凶悪な能力がある」
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