終章 月の無い空に世界蛇は哭く 参詞“英雄騎士” #2

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「ついてねぇ……」 ネーブルは眼下に広がる洞窟を眺めて、ボソリと呟いた。 地上戦の先陣を切ったおかげで、洞窟口制圧後は拠点防衛をするだけと言う、美味しい部隊に配属された筈だったが…… 思うように地下侵入が進まないために、急遽侵入路警護部隊にもお鉢が回って来たのだ。 それも攻撃中枢たるパリキス部隊の直衛である。 「危険度マックス……だな」 「どうしました隊長?」 「いんや、何でもない」 副隊長の声に考えを中断する。 ちょうどパリキス部隊のお出ましだ。 周りを固める戦力はそうそうたる面子である。 王宮近衛騎士団三人を筆頭に、名うての騎士団と僧兵団、虎の子の魔術師団が囲む。 本来ならこれだけで小国を落とせる戦力だ。 流石に洞窟進行を踏まえて、小隊規模でパーティー編成を始めている。 (あれだけ居れば十分だろうに) ネーブルは腰に手を当てて、大きく嘆息した。 そこでビクリと身体を震わせる。 (まっ……ずい) 頭に過ぎるビジョンに、ネーブルの顔色が変わる。 「どうしたんですか隊長?」 再び副隊長が疑問に首を捻る。 ネーブルは明らかに顔色が悪い。まるで、丘に上げられた魚のようだ。
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