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終章 月の無い空に世界蛇は哭く 肆詞“最凶の悪夢” #2
それに、あの聖剣の力は魔神殺しに相応しい威力である。
このまま、まともに打ち合っていたら、腕が駄目になる前に刀が折れてしまう。
ガルンは舌打ちして妖刀をしまうとダークブレイズを引き抜いた。
炎の魔剣では殺傷能力が格段に上がってしまう。
カナンを傷つける可能性は極力下げたかったが、もう理想的な展開は望めない。
まともに戦う方法は限られているのだ。
ダークブレイズを向けられて、カナンは怒りに顔を引き攣らせた。
「そんなまがい物まで用意するなんて、本当にいらつくかな? 許せないかな?」
カナンは聖剣を一回転させると中段に構えた。
新たな属性を付加させるための祝詞を唱える始める。
それを聞きながらも、ガルンは剣よりカナンの姿に注目した。
白き銀嶺の時のような、精神支配系の秘宝具の姿は見えない。
となれば、確実に何らかの術か能力の影響化にあるとガルンは判断する。
(俺には魔術師のような解呪魔術は使えないし、僧侶のような浄化魔術も使えない。出来る事は限られる)
冷静にカナンを注視する。
精霊の眼では姿を捉えられても、細部は無理だ。
カナンの異常箇所を探すには、チャクラ感知。
そして、そこからカナンのエーテル体を把握する。
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