終章 月の無い空に世界蛇は哭く 肆詞“最凶の悪夢” #2

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やはり、頭付近に黒い靄の様なものを感じる。 それが、マインドコントロールを導く何かなのであろう。 (あれが元凶か! アレを取り除きさえすれば……!) ガルンは頭をフル回転させて、解決策を模索する。 しかし、そんな暇はガルンにはなかった。 目の前にカナンが迫る。 下段からの鋭い一撃。それを寸前で魔剣で受け止める。 「ぐっ!!」 その瞬間、ガルンは顔を歪めた。 身体全体に骨を軋ませるような衝撃が走る。 軽々しく吹き飛ぶガルンに、カナンは追い打ちをかけるために更に突き進む。 追随を阻止するためか、その前に天三輝が割って入った。 それを見て、カナンはニッコリ微笑んだ。 その場で一回転すると、再び下段からの剣を振り上げる。 何気ない一撃は、されど天三輝を遠くに弾き飛ばした。 「なっ?!」 今まで無敵を誇る盾が、呆気なく弾き飛ばされるのをガルンは唖然と見送る。 それを気にもしないでカナンは肉薄してきた。 「滅陽神流剣法、無式五十三型・鉄鬼崩し!」 「滅陽神流剣法、無式三十型・乱れ煉華!」 聖剣と魔剣がぶつかり合う。皮肉な事に、真逆の意味で生まれた剣たちは、同じ剣技の使い手同士の走狗となっていた。
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