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やはり、頭付近に黒い靄の様なものを感じる。
それが、マインドコントロールを導く何かなのであろう。
(あれが元凶か! アレを取り除きさえすれば……!)
ガルンは頭をフル回転させて、解決策を模索する。
しかし、そんな暇はガルンにはなかった。
目の前にカナンが迫る。
下段からの鋭い一撃。それを寸前で魔剣で受け止める。
「ぐっ!!」
その瞬間、ガルンは顔を歪めた。
身体全体に骨を軋ませるような衝撃が走る。
軽々しく吹き飛ぶガルンに、カナンは追い打ちをかけるために更に突き進む。
追随を阻止するためか、その前に天三輝が割って入った。
それを見て、カナンはニッコリ微笑んだ。
その場で一回転すると、再び下段からの剣を振り上げる。
何気ない一撃は、されど天三輝を遠くに弾き飛ばした。
「なっ?!」
今まで無敵を誇る盾が、呆気なく弾き飛ばされるのをガルンは唖然と見送る。
それを気にもしないでカナンは肉薄してきた。
「滅陽神流剣法、無式五十三型・鉄鬼崩し!」
「滅陽神流剣法、無式三十型・乱れ煉華!」
聖剣と魔剣がぶつかり合う。皮肉な事に、真逆の意味で生まれた剣たちは、同じ剣技の使い手同士の走狗となっていた。
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