終章 月の無い空に世界蛇は哭く 肆詞“最凶の悪夢” #2

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ガルンの言葉に、カナンは面白くもなさそうに剣を向けた。 「ご名答。その盾のウィークポイントには絶妙かな? その盾は重力制御で浮遊している。真下に対して反重力を放っていると仮定すれば、下段の同質の重力攻撃を相殺するには、同質量の反重力を当てるしかない。そうなれば……」 「攻撃は防げても、反重力を放っている盾は“異常に軽くなる”」 ガルンは小さく舌打ちした。 そんな些細な欠点に気づき、尚且つそこをついて来る技量に舌を巻く。 カナンの戦闘センスには脱帽するばかりだ。 重力を纏う剣と打ち合うには、殆どのチャクラを身体強化に回すしかない。 重力圏内で戦うには、並外れた筋力が必要になる。 (本来ならダークブレイズの炎を使った、中距離戦闘にするしかない。しかし……カナンに……殺傷能力の高い炎を撃つ……のか?) ガルンは歯を食いしばった。 力を入れすぎて奥歯が悲鳴を上げる。 ガルンの葛藤に気づいているのか気づいていないのか、カナンは迷わず飛び込んで来る。 振り下ろされる聖剣を魔剣で受け流す。 重力で強化された剣と、まともに打ち合うのは自殺行為に等しい。 受け流すだけで、腕が悲鳴を上げる。 全ての攻撃を躱して戦いたい所だが、カナンのスピードではそれは叶いそうにない。
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