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ガルンの言葉に、カナンは面白くもなさそうに剣を向けた。
「ご名答。その盾のウィークポイントには絶妙かな? その盾は重力制御で浮遊している。真下に対して反重力を放っていると仮定すれば、下段の同質の重力攻撃を相殺するには、同質量の反重力を当てるしかない。そうなれば……」
「攻撃は防げても、反重力を放っている盾は“異常に軽くなる”」
ガルンは小さく舌打ちした。
そんな些細な欠点に気づき、尚且つそこをついて来る技量に舌を巻く。
カナンの戦闘センスには脱帽するばかりだ。
重力を纏う剣と打ち合うには、殆どのチャクラを身体強化に回すしかない。
重力圏内で戦うには、並外れた筋力が必要になる。
(本来ならダークブレイズの炎を使った、中距離戦闘にするしかない。しかし……カナンに……殺傷能力の高い炎を撃つ……のか?)
ガルンは歯を食いしばった。
力を入れすぎて奥歯が悲鳴を上げる。
ガルンの葛藤に気づいているのか気づいていないのか、カナンは迷わず飛び込んで来る。
振り下ろされる聖剣を魔剣で受け流す。
重力で強化された剣と、まともに打ち合うのは自殺行為に等しい。
受け流すだけで、腕が悲鳴を上げる。
全ての攻撃を躱して戦いたい所だが、カナンのスピードではそれは叶いそうにない。
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