終章 月の無い空に世界蛇は哭く 肆詞“最凶の悪夢” #2

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打ち合いを始めて、どれだけの時間がたったであろうか? 時間としてはたいして経過してはいない。 だが、その少ない時間の中で、もう何百と剣を打ち合わせていた。 ガルンの筋肉と関節が悲鳴を上げている。 二人とも荒い息を吐きながら、少し距離をとった。 「こんなに、打ち合ったのは……初めてかな?」」 「……カナンとは、ティリティースの家で打ち合ったきりだからな」 ガルンは体中の痛みより、関節の負荷に焦りを感じていた。 重力圏での戦いは、自身の体重を何倍にもする。 その上、重さを何十倍にもした聖剣と打ち合っているのだ。 斬られる前に、身体が壊れてしまう。 (チャクラを状態維持に回して、騙し騙し戦うしかない……か) ガルンはチャクラの一つを関節保護の状態維持に回す。 そこで、ガルンは目を見開いた。 「そう……か。その可能性があった」 頭に閃いた可能性。 それはチャクラである。 チャクラとは身体に存在する構成要素の一つ、エーテル体にあるエネルギー・センターをさす。 肉体、精神体、アストラル体などを、エーテル体とリンクさせる核にもなっている。 身体を巡るプラーナの調整と活性化を司り、意識の中枢と各構成体の中継点としての役割もはたす。
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