終章 月の無い空に世界蛇は哭く 肆詞“最凶の悪夢” #2

6/19
110人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
チャクラを認識出来るものは、その繋がりであるエーテル体を認識出来るようになる。 エーテル体は魔術回路や精神回路と密接にリンクし、全ての構成体の影響を受けるものだ。 身体が怪我を負えばエーテル体も同箇所を傷め、精神を病めばエーテル体も病む。 しかし、逆に“エーテル体が健全な状態”ならば、身体がいかに傷んでいようと“エーテル体と同質な状態”になるのだ。 ガルンがチャクラを使い、毒や麻痺を中和していたのは、この仕組みによるものである。 毒や麻痺を受けたエーテル体を、チャクラの力で浄化していく。そうなれば影響下にある肉体の毒や麻痺も中和されるのだ。 身体強化も等しく、エーテル体を強化することにより肉体機能を飛躍的にパワーアップさせる。 これは“気”による肉体強化とは、全く意味を異にする能力だ。 (カナンのエーテル体を治せれば、カナンの精神汚染も治せるはずだ!) ガルンはカナンの動きを警戒しながらも、カナンの稼動しているチャクラに意識を向ける。 稼動しているチャクラは二つだけだ。 喉と腹部。 それを見極めてから、ガルンは大きく深呼吸する。 汚染されたエーテル体を治すには、本来自身のチャクラでそれを浄化するのが最も効果的だ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!