終章 月の無い空に世界蛇は哭く 肆詞“最凶の悪夢” #2

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「滅陽神流剣法、一の裁ち・霊劫!」 白銀の剣閃が振り下りる。 完全に避けられる間合いにはない。 ダークブレイズも聖剣を打ち砕く為に、刃先を振り上げてしまっている。 神を斬る魔剣は、あっさり天三輝とガルンを突き抜けた。 地面が粉みじんに砕け散る。 吹き飛ぶガルンの跡には、大地に打ち付けられた天三輝があった。 重力剣の威力も健在だ。 目の眩む燐光のように、明滅した後の世界でカナンは渋い表情を浮かべていた。 何か納得いかなさそうな顔は、吹き飛んだ先のガルンに向いている。 そこにはカナンには予想通りだったのか、よろよろと身体を立て直すガルンの姿があった。 「さっきの妙な手応えは、霊威力だったのかな?」 カナンが感じた異質な手応え。 それは実は二つあった。 一つは天三輝に宿ったヤタの神域障壁だ。 これは天使や神族が使うのと同質の神霊力で構成されており、強力な霊的防衛能力を誇る。 そして、もう一つはガルンが精製した霊威力の壁であった。 ガルンは始めから最悪の状況を想定して、チャクラ三つを霊妙法使用が可能な状態で維持していたのだ。 相手は同じ神屠りの技を持つ剣士。対人戦闘でも使用しないとは限らない。
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