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伍詞“終焉の未来と数の正義” #3
開いた掌に触れる前に、呆気なく水刃は霧散していく。
「何ぃ?!」
驚愕するガルンに、ホホウロの背後に浮く金色の幽冥獣が牙を向ける。
いきなり伸びた、突撃槍さながらの三連打突。
ガルンはそれを寸前で躱す。
しかし、それを読んでいたのか、その先にホホウロが迫っていた。
向けられた掌に、ガルンは不吉な予感が走る。
妙な高音が鳴り響く。
間に割って入った天三輝が極小に震えていた。
それを見てホホウロは目を見開く。
「へえ、こいつは驚いたぜ。俺の“絶交心音”を防ぎやがった!」
「……?!」
何が起こったか分からずに後退するガルンとは逆に、周りの味方の騎士は好機と判断した。
左右に回り込みながら挟撃する。
右にランスで突撃をする騎士、左からは剣で突きを放つ騎士が進む。
男は両腕を左右に向けた。
ランスと剣が掌に触れると思われた瞬間、騎士達は鎧ごと粉みじんに吹き飛んだ。
血煙が空に舞う。
「なっ……んだ、こいつの能力は?!」
ガルンは目を細めた。
先ほどの蝶白夢の水撃も、粉砕されたのを思い出す。
しかも、妖刀の水刃が幻蝶に変化していない。
「面白いぜテメェー、この“分断のホホウロ”がマジに相手してやるよぉー」
ニヤリとホホウロは笑う。
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