第壱章『目玉のカードの事件と三鬼はじめ』

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 多種多様にわたる物の数は数知れず。それら一つ一つに神がいると言う考えが、日本の神の信仰、つまりは「日本の神は他国と違って沢山いるんですよー」と言う『八百万の神々』と言う考えに繋がっている。ある意味起源に繋がっていると言えよう。本当にある意味だが。 しかし、実際ふたを開けてしまえば、何処にでもいる神、他の物でも代用が効く程度の存在、見たいな扱いを八百万学園で受けているのが、現状である。つまり、交渉相手としては、初心者が通る道である。難易度の低さで有名なのが、付喪神の認識だ。  して、付喪神と契約した場合どのようなことが出来るのか。  神との契約の基本とは、条件を引き換えに、神の力をかりる。勿論、付喪神が持つ力を引き出すことが出来る。  では、マッチ棒の付喪神が持つ力とはなんなのか。そもそも付喪神は、宿っている物自体の力を最大限に使えるに過ぎない。マッチ棒にできる事は、『点火』と『発火』である。つまり答えは、マッチ棒の付喪神が持つ力はその点火と発火だけしかないのだ。その中で、オリガミは今回の契約で『点火』の力を、無償で使わしてもらえると言う契約を結んだ。  それが、指先に一瞬だけ炎を灯して見せたオリガミの成果である。  「おい、すぐ消えたぞ」  「だって一瞬しか点かないんだもん」  「もう一回やってみろよ」  「よし。任せてよ」  ボッと音を立てて人差し指に火が灯る。そして風に当てられて鎮火。変な間が流れた。  「何時かはこの火を全身から出して見せるっ」  という事でオリガミくんガッツポーズ。マッチ棒の付喪神じゃ無理だろうとは思ったが、契約が取れた自分よりかは幾らか凄いので特に口に出さないでおく。と言うより、凄さはひとまず置いといて素直に尊敬しているので、悪くは言えなかった。  「とりあえず、全身から火が出たらあつくねぇの?」  「あ、そうだね。どうなのかな? あついのかな?」  「全身から火が出るんだろ。あつそうじゃね?」  「じゃああつさ対策の為、スポーツドリンクとか持ってこないと駄目だね」  「……あぁ。そうだな。必要だよな。熱いもんな」  「うん。暑いもんね」  皆まで言うな。そんな顔を浮かべた三鬼はじめであった。その顔は、ガラの悪い彼の割には、優しそうであった。  ◆  「昨今蔓延る目玉のカードの事件」
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