第壱章『目玉のカードの事件と三鬼はじめ』

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 場所は八百万学園敷地内。生徒会室と隣接している、名もなき、そして開かずの教室。十何畳にもわたる広さを持ち、中央には円卓テーブルが置かれている。そのテーブルには、十二の席が置かれ、その椅子にはそれぞれの星座が描かれていた。その十二の席に座る男女の生徒たち。一つの空席を除き、この場に十一人の人間が揃っていた。  「我々八百万十二神宮を全員そろえたのは、他でもない」  十二神宮の一人が口を出す。眼鏡に七三分けした、非常にまじめそうな男だった。先程から、この議題について指揮をとっているようであった。  「我々の中から、目玉のカードを利用した人間から出たからである」  各々動く視線の先。それは、空席。十二神宮の人間が、事件に関わっていたと言う緊急事態。指揮する男が咳払いをすると、注目が彼に戻る。男が取り出したのは、目玉のカード。今度は全員がそのカードに注視する。  「このカード、流石の皆も存じているな?」  「はーい! ぼくぅ、あまりきょーみないからしらないんですけどー」  そう異議上げたのは、棒付きキャンディーを舐めながら、人を舐め腐った態度をとっている少年。膝の上には、クマのぬいぐるみが置かれている。まるで小学生とも勘違いしてしまいそうな体系、そして童顔。だが、実質高校一年生。足組んで、キャンディーをちゅぱちゅぱと舐め続ける。棒に触れ、キャンディーを口の中で転がしていく。  「君は十二神宮の自覚が無いな。三散賀宮くん。今回は目を瞑るが、毎度こうだと思わないでくれ」  「ごめんなさーい。ほら、クマちゃんもごめんなさーい」  三散賀と呼ばれた少年は、ぬいぐるみの首根っこをつかみ、千切れる勢いで首を曲げる。彼は終始へらへらと笑っていた。その態度に、不快そうな顔を浮かべる人間が何名か。興味なさそうな顔を浮かべる人間が何名か。眼鏡の男が、くいっと眼鏡を持ち上げる。  「では」、そう前置きをすると、カードの詳細について語りだす。
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