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「このカード、一体誰がつくり、はたまた誰が配布しているかは知らんが、問題点は二つだ。このカードの利用者全員が使用をやめると同時に意識不明の昏睡状態になること。そしてこのカードによって呼び出された神は、総じて学生が操れるレベルの神ではない上級の神であることだ」
何人かが、空席に目を向けた。つまり、この空席に座るべきだった人間は現在、意識不明の昏睡状態であることを意味している。九々寺つくもが倒した、野球部主将であった男。
十二神宮が一人。同じくして十二の席の一つに座る少女。九々寺つくもが、頬杖をつきながら、そしてあくびをかく。やや涙を浮かべると、どうでもよさそうに机に突っ伏した。
「最早被害者は今回の事含めても十数件に渡る。その十数名も、未だ意識は回復せず、原因不明の昏睡状態のままだ。今回の事件、早急に手を打たねば被害は甚大に増えるだろう。そこで、その事件の解決の切り口がこれだ。今私が持っている目玉のカード。野球部主将。七志知マルオが使っていたものだ。これをサンプルとして回収する業績を残した、九九寺つくもくんに皆は感謝するように」
この場に三人ほどの拍手が上がった。つくもも満更ではなさそうな顔を浮かべ、ピースを取って密やかに笑みを見せた。その笑顔を快く思わないのも、また数名。なんだか全体的にギスギスしている組織だ。
三散賀がキャンディーの手を止め、ニヤニヤした顔つきでつくもを見る。目と目があうと、三散賀は手をひらひらと振った。「なるほど、私のファンだね」と良く分からない納得をした彼女もまた手をひらひらと振った。その思考は本当に良く分からない。
「一体このカードのメモリーにはどういった契約が書かれているのか。どうして上級の神を呼び出すことが可能なのか。疑問は絶えないが、このカードの異常さを早急に調べ上げる。その間、我々八百万十二神宮がこの事件の拡散を阻止するのだ。独断で動く我々だが、今回ばかりは協力を仰ぐと言う意味で君たちを集めたのだ」
しかし、期待に反して場は騒ぎだす。がやがやと不満の声が上がりだす。
「はン! 俺様がいりゃあこいつ等なんて雑魚同然なのによォ!」
「協力? 足手まといなだけですよ」
「……嫌」
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