第壱章『目玉のカードの事件と三鬼はじめ』

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 「協力かぁ。私的には別にしてもいいんけどさ! ほら、みんなプライベードみたいなものがあるじゃん! そりゃ私みたいに可愛いつくもちゃんと一緒に行動できるのは嬉しいだろうけど、まぁ、そこはアレじゃん! えっと、あれじゃん! とにかくみんなで行動するとか面倒臭いじゃん!」  「君たちの異議は却下だ。これは既に決定されているのだからな。取り返しがつかなくなる前に、我々が協力し合い、どうにかせねばならないのだ」  有無を言わさない答えだった。色々文句を出していた彼らだったが、折れない姿勢を見て諦めたのか、背もたれに体を預けだす。つくもに至っては口を尖らせながら、「ぶー」と懲りずに不満を口にしていたが。  その時、手があがる。異議が上がる。三散賀宮の、その手が。  「ぼくてきにはぁ、ここにいるひとたちをしんよーするなんて出来ないなぁ」  空気が一変。怒気がこもる顔が周囲一帯から投げつけられる。  「だってさぁ、かんがえてみてよ? そんなよく分からない事件の黒幕が、ふつーの学生レベルなわけないじゃん。もっとこう、優秀なひとたちがするものじゃないの?」  誰かが、唾を飲み込んだ。誰かが、息をすることを忘れていた。  「それに、七志知まるおくんは目玉のカードをもってたんだよねぇ? それってどういうこと。組織の中から事件がはっせーしたなら、ぼくたちのなかに内通者がいたってかんがえるべきじゃない?」  キャンディーがゴロと音をたてて口の中で転がった。唾液の音が、静寂の中響き渡る。  「だからぼくは、ここに裏切り者がいるとおもいまーす」  ゴリッとキャンディーを噛み砕く音が、この場にいる人間の緊張を強めた。  「八百万学園、究極最強の十二人。ぼくたち『八百万十二神宮』の中にね」  ◆  「八百万十二神宮?」  「そう、今なんだか特に疑われてるらしいよ。僕や君みたいな人間がね」
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