第壱章『目玉のカードの事件と三鬼はじめ』

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 八百万学園高等学校は、辺鄙な山の奥にある。有り余った膨大な土地を安く買った結果、みたいな理由もあるが、学ぶ内容が内容なだけに、人目がつかない為に辺鄙な場所に置かれているのが一番の理由である。土地も沢山有り余ってあるが故に、学園内に建物は結構ある。高校よりかは、大学の方がイメージに近い。今使われている校舎も五年ほど前に建てられた新校舎だったりもする。改築では無く、新しいのを立て直すところが、土地とお金を持っている感を漂わせている。  さて、そんな山の中に加えて広い土地であるこの学校。登下校の仕方はスクールバスを使って山を下るか、歩いて数キロにある学生寮に歩いて帰るかの二択に迫られる。  今、その学生寮に向かって二人は下校している。その下校中に出たオリガミからの世間話。テーマ、八百万十二神宮について。  「なんであんな奴らに疑われなきゃなんねーのよ?」  「ほら、今なんか変な事件が流行ってるじゃないか。それで不良とか落ちこぼれとか、素行が悪い人間に疑いがいってるみたいだよ。普段からの行いの差、ってやつだね」  ふとなんとなく、十二神宮が武力行使に出るイメージが湧く。それにオリガミがやられてしまうと言うオチもつき、これまたふと不安になった。  「そっか。気をつけろよ。お前よわっちいし」  「あ、酷い。これでも僕だって鍛えてるんだよ? 筋トレとか毎日やってるし」  「筋トレしてるのは見てるから知ってるけどよ。そういや、腕立て伏せ何回出来るようになったんだ?」  「十回だよ。凄いでしょ?」  「……今度プロテイン買ってやるよ。それも高いの」  「本当に? すごく嬉しいよ。これで筋トレもはかどるね。目指せムキムキだね」  「あぁ、目指せムキムキだ」
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