第壱章『目玉のカードの事件と三鬼はじめ』

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 神力学とは、交渉術である。  神と人間の力のやりとり。この構図、シンプルに言うなら、人間が神に対して、『神様の力を貸してください!』とお願いし、そのお願いにたいして、『力貸しても良いけど、その代わりになんか頂戴』。と言った、WINWINな関係である。神に対する要求は様々で、それこそ無償で提供してくれる気前のいい神様もいたりする。勿論、いっぱしの学生がクリアできないような難しい要求をしてくる神様もいる。じゃあ諦めるかと言えばそうではない。そんな頭が固い神に対し、話術で契約内容を変えるのが、八百万学園の学生たちに求められるスキルである。難しい要求を、自分でも出来るクリアな内容に。そうすれば、契約のできる神様はどんどんと増えていくのだ。  入学すると同時に、学生には上述された白いカードを初期に配られる。これは、コントラクトカード。略称としてCカード。契約カード。学生たちによって様々な呼称をされているが、大体はカードと括られて呼ばれているが、このカード、一体何かと言えばだ。契約カードと書かれた名の通り、このカードは契約書の意味合いをもっている。学生は、神様との交渉もとい契約内容をこのカードに記憶させることで、これからはその契約書の内容に従って、幾らでもその契約を履行できますよという事が可能な訳である。  また、このカードを通すことで、神様とコミュニケーションをはかる事が可能なのだ。  そして冒頭にも書いたが、神力学とは神への交渉術を学ぶ学問である。端的に言えば、この学園の成績評価の仕方は、『どれだけ神様と契約をとったか』と営業職真っ青なシビアな評価方法である。多くの契約を取れた人間は、それだけ多くの神様と交渉出来たと言うスキルの高さの証明になるからだ。  良くも悪くも、この学園ですべきことを成し終えるためには、契約カードを常に持ち続ける必要がある。  この契約カード。初期は白いカードだが、多くの神と契約を交わすことで、また、カードのメモリーを増やすことでカードの色が変わり、加えて模様が加わる。先ず色についてだが、初期は白。重ねて契約数を増やすことで、灰、黄色、緑、青、赤、最後に黒と七段階に評価される。最も、白に至っては、一つでも契約が取れれば灰に変色するので、白を最後まで持っているものは先ずいないし、灰に至ってもビギナーの扱いである。
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