季節外れの苺

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そういうことも思い出せずに、見た目で全てを判断して、彼が浮気をしたのだと決めつけて逃げだしたあの時の私は、どうしようもなく幼かったのだと思い知る。 今だってきっとあの頃とたいして変わらないけど。でも、向き合わなければいけないと思った。 「わかった、いいよ、付き合うよ」 「何その言い方。付き合わせてくださいの間違いじゃない? ま、別に文句は言わないけど」 ものすっごく文句言ってるじゃんと思いつつ、これ以上のことを言われないように黙って聞く。すると彼は、何かを思いついたように楽しそうな顔をした。 「あ、そうだ」 「他には何?」 少し怖いけど、ここまできたらもう何でも同じ。強気に行くしかない。 「行き先を失った5年前のクリスマスプレゼントが部屋で眠ってるから引き取ってくれる?」 「え?」 「電池切れてるだろうけど。そろそろ針を動かしてもいいんじゃない?」 その真剣な表情は少し意味深で、いろいろ考えてしまう。 もしかして、動き出すのは時計だけじゃないとか、そういうことを意味してるとか……?
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