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一瞬の静寂。
慌てて打ち消そうと
顔を上げると、
月子ちゃんの表情が目に入り、
わたしは思わず言葉を呑み込んだ。
「…どうしたの、月子ちゃん…」
彼女は一点を見つめ、顔を
強張らせて真っ青になっている。
その視線を追い、
わたしは自分の手元に目を落とした。
投稿用紙の束の一番上に、
太いマジックで
殴り書きされた文字。
『放火魔は、学校を去れ』
「…なに、これ…」
見上げると、その場にいた
全員の視線が、この文字に
釘づけになっていた。
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