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「えっと、次は…」 ヒロシは腰にぶら下げた 自分の台本をちらりと見て、 「はい、みんな廊下に出てっ。 誰もいないトイレの 全体を撮るから。 …声、出さないようにねっ」 言われた通り、皆で ぞろぞろと廊下に出る。 「すごいね、ヒロシくん。 本物の監督さんみたい。 …別人のように生き生きしてる」 わたしは彩加に囁いた。 「ホントだね。 いつもは死んだ魚が腐りきって 道端に落っこちてるみたいな 目してんのにさ」 金曜の夜。 係決めのくじ引きでハズレ…… いや当たりを引いたわたしたちは、 夜の学校で『学園七不思議』の 撮影を行っていた。
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