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それを握りつぶすなんて、 …普段の春山先生なら 絶対にしないことだ。 戸惑いながら 先生の顔を見たわたしに、 先生はすぐに笑顔を見せた。 その作り物の笑顔は、 わたしからの問いかけを きっぱりと遮断していた。 …何かある。 そして、先生は それを隠そうとしている。 わたしの中に生まれた 疑惑というシミのようなものが、 昨日の放課後から、 今でも増殖を続けていた。 そして…。 あの時、更科ミツルが言った 「キスした」という言葉を 否定し損ねた事に、わたしは ずっと後で気付いたのだった。
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