-1-

9/10
前へ
/37ページ
次へ
初耳だったので、 わたしは少し驚いた。 「パニックって…」 「昔、お化け屋敷で 迷子になったことが あるらしくてさ。 冗談抜きで、 ヤバい状態になっちゃうんだよ」 「そうだったんだ。 …知らなかった」 「あいつの事だから、 平気なふりして無理して 頑張っちゃうと思うからさ。 一人にならないように、 見ててやってくれる? トモコにも頼んでは あるんだけどさ」 クラスの違う田辺くんは、 自分がついていてあげられない事が 歯痒いようだった。 本当にうらやましい…。 隣を歩く彩加の横顔を、 わたしは羨望の眼差しで見つめた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加