-3-

6/9
前へ
/37ページ
次へ
二人で展望台に行った、 あの大切な夜のことを思い出すと、 何とも言えない感情が込み上げ、 目の奥が熱くなる。 わたしだけじゃ、なかった。 先生の助手席に乗ったのは、 わたしだけじゃ…。 「あの、ごめん、月子ちゃん。」 わたしは腕時計に 目を落として見せてから、 必死で笑顔を浮かべた。 「ちょっと用事思い出したから、 やっぱり先に帰るね」 「…そうですか」 月子ちゃんはくす、と笑って、 「さようなら。 …お気をつけて」 と首を傾げるように お辞儀をした。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加