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「おっ、いーねー奈良崎! じゃ、椎名、あとは任せた」 「うん」 カメラが回ると、 ヒロシがカウントを始める。 「5、4、3、2、1、…はいっ」 わたしはトトト、と前に進み出た。 「じゃ、撮るよー、彩加。 はい、ポーズ」 私がシャッターを押した瞬間、 彩加の目が大きく見開かれた。 「…どしたの?」 わたしが聞くと、彩加は 震える指で、後方の 出口を指差した。 皆、一斉に振り向くと…。 音楽室の出口から、 バッハの首が半分覗いていた。 「きゃーーーーっ!!!」 トモコの悲鳴が響き渡る。 わたしも彩加に飛び付き、 夢中で抱き合った。 恐る恐る、もう一度 顔を上げると…。
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