-3-

2/23
前へ
/28ページ
次へ
心臓が飛び出して来そうなくらい、 耳元でバクバクと脈打つ。 皆の足音が遠のき、 やがて静けさがやって来ても、 鼓動は治まらなかった。 わたしの口を右手で塞いだまま、 先生はいつものイジワルな表情で こちらを覗き込んだ。 「ちょっとだけお前のこと さらうけど。…いい?」 「……」 小さく頷くと、先生は やっと手を離した。 音楽室の引き戸を静かに閉め、 わたしの手を取って、 窓の方に歩き出す。 ――先生と、手、繋いでる…。 それだけで、 わたしの顔は熱くなった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

224人が本棚に入れています
本棚に追加