第六世 交わらない魂

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一瞬、二人の間を吹き抜けた風とともに、静かな柳の声がレナの耳に届く。 「えっ?」 「…………」  案の定、惚けたような顔をして首を傾げたレナの姿に、柳は口を噤むと目を伏せた。 彼女の反応は予想していたことだが、だからといってもう一度口にするほど恥ずかしいことはない。 自分の告白は聞こえていたことに間違いはないのだから、後は彼女の中で判断して欲しいと。  気まずそうに自分を見詰めてきた柳に、レナは一瞬困惑した表情を浮かべるも直ぐに笑顔になると柳の肩を叩きながら笑い出す。 「なにっ、急に? ジョーク?」  容赦なく肩を叩いてきたレナに、柳は痛みで一瞬眉を潜める。 そして、結局もう一度はっきり言わないと彼女には自分の意図が伝わらないのだと諦めると、彼女に向き直り真剣な眼差しを向けた。 「いや。前から好きだったんだ、君のこと」 「っ……!!」 途端、笑顔を強ばらせ言葉を失ってしまったレナに、追い打ちをかけるかのように言葉を付け加える。 「今、付き合ってる人いないんだよね?」
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