第六世 交わらない魂

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 椅子に腰掛けた晁光は、先ほどまで読んでいた本を開くとそれに視線を落とす。 だがコーヒーを淹れている柳のことが気になり、そっと本の間から後ろ姿を盗み見ると目を細めた。 なんだか、昨日までの彼と雰囲気が違うと感じるのは気のせいか。 振る舞い、喋り方、すべてにおいてどこか落ち着いた感じの印象を受ける。 自分に慣れたから? それもあるかもしれない。 彼と出逢ってから、まだ数日しか経っていないが、サークルに入部したことで同じ学年じゃないにしろ接触は増えただろう。 だけど、それだけだろうか。 何かが引っかかっていた。
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