第六世 交わらない魂

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 両手で持ったカップから温かい熱が掌に伝わってくる。 ほっとする温かさに、晁光は小さく笑みを零すと、そっとカップを口元に持っていく。 だが、ふと視界に入ってきたカップの中身に思わず手を止めると眉を潜めた。 「あー……」 「どうしました?」 不思議そうに問いかけてきた柳に視線を向けると、晁光は申し訳なさそうに目を伏せた。 せっかく柳が淹れてくれたコーヒーだが、既にミルクと砂糖が入っているだろう色合いに苦笑いする。 普段、自分がコーヒーを飲むとき、ミルクは入れるが砂糖は入れない。 だが自分が甘いものが苦手なことを知る由もない柳は、きっと良かれと思って両方入れてしまっているだろうと。
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