第六世 交わらない魂

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 気まずい雰囲気が流れる中、お互いカップに両手を添えたまま無言の時間が過ぎる。  ようやく自分が淹れたコーヒーに口を付け始めた晁光を、柳はそっと盗み見ると手元のカップに視線を落とした。 茶色い液体が揺らぐ水面に、自分の顔が映し出される。 それは未だ見慣れぬ、青年の顔だった。 年齢の割にはあどけなさが残るその顔は、男らしいと言うには少し無理がある。 だが紛れもなく、今目にしている顔は、今の自分の顔だ。 以前の自分とは似ても似つかぬ姿。 目の前で物言いたげにコーヒーを啜っている彼と同じ、性を持った男ーーーー。
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