第六世 交わらない魂

17/27
前へ
/140ページ
次へ
 真剣な眼差しを向け、必死に語りかける晁光の姿に、柳は哀し気に目を伏せると膝の上に置いた両手を握り締めた。 「……そうですね。最初は、そうでした」  消え入りそうな声で、そう呟いた柳に、晁光は眉を潜めると聞き返す。 「”最初”は?」 「今は……もうあまり深く考えるのはよそうかなって」 「えっ……」  戸惑ったように晁光が声を漏らした途端、柳は意を決したように視線を向けると、以前のような明るい口調で一気に捲し立てる。 「考えても仕方ないじゃないですかぁ? こんな奇妙なこと、そうそうある訳じゃないしぃ……答えが見つかるものでもないですから。だったら、そんなくだらないことに時間を割くより、せっかく大学に入ったんだからキャンパスライフを楽しんだ方がいいかなってっ」  戯けた顔をしてそう語る柳の姿に、晁光の顔は次第に歪んでいく。 「……っ……くだらない?」 「そうですっ。先輩も、こんなところに籠ってばっかりいないで星野先輩と合コンサークルとかに参加してみたらどうですか? もっと交友関係を広げた方がいいと思いますよっ」
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加