第六世 交わらない魂

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 文句を言いながらハンバーグを頬張り始めた衛の姿に、晁光は小さく溜息を吐くと、手つかずのサンドウィッチを皿の上に置いた。 「お前が無理矢理、呼び出したんだろ。文句言うなら、合コンで知り合った女の子でも誘えば良かったんだよ」 「それなんだけどさー! 聞いてくれよぉ~」 皮肉を言ったつもりだったのだが、途端、堰を切ったように喋り始めた衛に、晁光は一瞬驚きで目を丸くするも、苦笑いすると口を噤んだ。 結局、衛が自分を呼び出した理由は、愚痴を聞いて欲しかっただけなのだ。 いつもなら、嫌々ながらも、その話しに耳を傾け未熟ながらも、意見の一つでも述べていたことだろう。 だが、今日は人の相談になど乗れる気分ではなかった。 彼が……昨日の柳の態度がずっと気になっていた。 (俺の……気のせいだろうか) そんなことが、ずっと脳裏を巡っては答えを出せずにいる。 端から見たら些細なことだろう。 だが、そんな些細なことさえ気になって仕方ない。 昨日の柳とのやり取りが、脳裏を巡った。
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