第六世 交わらない魂

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~ 意味が分からないと言った様子で眉を潜めた柳に、晁光は無理矢理、笑顔を作ると明るい口調で言葉を続けた。 「あっ、いやっ……なんで、俺がミルクだけって分かったのかなって」 「…………」 途端、身体を硬直させ口を噤んだ柳に、晁光は脳裏に浮かんだ言葉を振り払うと何事もなかったかのように問いかける。 「なんか、変なこと言った?」 「……いえ。なんとなく、そう思っただけです」~ あのときの彼は、とてもばつが悪そうな顔をしていた。 知られてはいけない何かを隠しているような……。 それは考え過ぎだろうか。 それともーーーー。 考えがまとまらない思考を一旦停止し、何気なく窓の外へと視線を向けた瞬間、晁光は目を見開く窓硝子に手をついた。 「?!」 「どうした?」 問いかけてきた衛には振り向かず、晁光は窓の先に見える人物の姿に釘付けになったまま声を漏らす。 「……あれって……」
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