第六世 交わらない魂

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 レナに顔を向けた途端、ふと誰かの視線を感じ、柳はその先へと目線を移す。 そこには、唖然とした様子で自分を凝視している晁光の姿があった。 晁光と視線が重なった途端、柳の顔から笑顔が消える。 そして、直ぐに視線を外すと、レナの手を握り踵を返した。 背後に突き刺さるような視線を感じながらも、柳は一度も晁光の方を振り返ることもなく、レナの手を握り締めたまま真っすぐ前へと進んで行った。  一人、その場に取り残された晁光は、まるで自分のことなど視界に入らなかったかのように遠ざかって行く柳の背中を見詰めたまま、いつまでもその場から動けないでいた。
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