第七世 君がいない世で君を想う

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 ベッドの上で目を覚ました晁光は、たった今見た夢を思い出し顔を歪めた。 いつもの夢ではなく、初めて見る光景。 そして自分は幼い子供だった。 親も友達もいない、孤独で寂しい子供。 なぜ、そんな夢を見たのだろう。 今まで、一度だってあんな夢、見た事はなかったのに。 それなのに、なぜか懐かしい気がした。 まるで自分自身が経験したことがあるかのようなリアルな感覚。 初めて少女の姿を目にしたとき、これと同じ感覚を何処かで感じた覚えがある。 それを思い出せないまま、晁光は重たい身体を起こすと、憂鬱な気分を抱えたまま洗面台へと向かって行った。
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