第七世 君がいない世で君を想う

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 楽しそうに談笑している三人の元に晁光が歩み寄って行くと、それに気付いた衛は勢いよく振り返り顔を二ヤつかせる。 「やっぱり彼女だってさっ」 「…………」 屈託のない笑顔で、わざわざ報告してくる衛に、晁光は返す言葉をなくし思わず眉を吊り上げる。 だが、衛は何も知らないのだと自分に言い聞かせると力なく微笑んで見せた。 そんな晁光と衛のやり取りを見守っていた柳は、目を細めると座っていたベンチから立ち上がる。 「日向先輩」 途端、弾かれたように顔を向けてきた晁光は、視線が重なると避けるように逸らしはにかんだ。 「っ……やぁ」 「……っ……」 ぎこちない笑顔を浮かべる晁光に、柳は思わず口を開きかける。 だが、一体何を言うつもりかと自分を宥めると、下唇を噛んだ。
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