第二世 神の悪戯

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 目を伏せ口を噤んだ晁光に、柳月は瞳を潤ませると言葉を続ける。 「顔に書いてあるわ。”もう諦めた”って……」  自分の口から本音を吐き出させようと、涙目で訴える柳月に、晁光は皮肉な笑みを浮かべると聞き返した。 「……他に、どうしろと?」 「……っ……!!」 悔しそうに下唇を噛んだ柳月に、残酷だとは思いながらも、この世での言葉遣いを捨て、本来の自分の言葉で思いを話して聞かせる。 「この世に生まれ変わったときから、もう俺達の道は決まっていた。……この世でも……報われない想いなんだと」  既にこの世に生まれ変わった自分たちの人生を諦めている晁光に、柳月は顔を覆うと声を上げた。 「それでっ……私にあなたが他の人と結婚するのを黙って見届けろとっ?」  柳月の悲痛の叫びに、以前は立場が逆だったことを思い出し、晁光は皮肉の笑みを浮かべた。 「俺だけじゃない……いずれ君も結婚する。もう21になったのだから、きっとお父様が良い縁談を……」 「やめて!! 聞きたくないわっ!!」 「……っ……?!」 自分の言葉を遮り叫んだ柳月に、晁光は握り締めた拳に力を込めると、溢れ出しそうな本音を必死で耐えた。
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